2008年12月06日

楽食旅紀行 番外編 「葉歩花庭サポーターズ」

ホームページ開設から約1年。ブログ記事も50件に近づきました。
ブログにも登場する食材や植物などのイラストを描いているのは、葉歩花庭 女将の姉(現在金沢在住)で、「楽食旅紀行」の執筆者である私は彼女たちの従姉妹であり、ブログの記事更新などを行っています。
今回は、外郭から葉歩花庭をサポートしている我々「身内」のお話を中心に、葉歩花庭の魅力について書く事にしました。(多分に手前味噌的な箇所はご勘弁を)

RIMG0033.JPG彼女たちの実家は三代続く自営業で、私の母の実家でもあります。従って、祖父母のもと、幼い頃から姉妹のように交流を深めてきました。
今は亡き祖母は、大変ホスピタリティに溢れた人柄で、その昔「いらっしゃいませ〜」という明るく澄んだ声は、50mも離れた横丁の角まで響き渡ったと聞いています。
食べ物すべてに厳しかった祖母は、いつも火鉢に煮物の鍋をかけ、長い時間をかけて丁寧に料理をしていました。一粒のご飯もお茶碗に残す事を許さず、お箸の使い方など食事の作法を叩きこまれました。また、祖母も叔母も植物が大好きで、ベランダ(物干し場)には山野草から園芸種まで多種多様の緑で一年中溢れていました。剪定用のハサミを手に、花の咲く時期を楽しそうに語った祖母の姿を今も忘れません。
そんな環境で育った従姉妹が、料理人のご主人と出会って葉歩花庭のオーナーになったのは運命であり天職だったのかも知れません。
早稲田に開店したお店は彼女の人柄そのままに、木材にこだわった暖かく上品な店内には、ずっと続けてきたフラワーアレンジの才能がふんだんに発揮されていました。
羽深(はぶか)はシェフの本名ですが、葉歩花庭とは本当によく出来たネーミングだと感心しました。店名がお店のコンセプトをすべて表明しています。
自称食いしん坊で食べ歩きが大好きな私は、知人・友人を連れて行ける特別なお店が出来た、と大変嬉しく思いました。繊細でいて、奇をてらい過ぎない創作料理を丁寧に提供するシェフの一皿は、友人たちを十二分に満足させ、また祖母譲りの心のこもった女将の接客が、更に居心地をよくしてくれて、とても鼻が高かったものです。
RIMG0002.JPG女将の姉は開店準備の頃からポスター、チラシ等を作成しサポートしてきました。今では彼女のイラスト満載の会席メニューは、葉歩花庭の重要なアイテムとなっています。柔らかいタッチの画風は、お店の内装にも料理にもぴったりで、本格的な会席料理に加えて、どこか手作り感の残る暖かい雰囲気が、女将の活ける花々と共に葉歩花庭の魅力として定着していると考えます。彼女は美大を卒業後、服飾雑貨メーカーでデザイナーをしていて、一時期私たちは同居していた事がありました。
彼女の会社に商品開発を依頼し、私はクライアントとしてとても厳しい注文をつけた事もありました。
そして、「いつか一緒に仕事をしようね」と語り合っていたものです。
そんな従姉妹たちの頑張りに、私も何か手伝えないだろうか…と考えていたところ、神楽坂に移転の運びとなり、この機にホームページの開設はどうか? と提案してみました。
快諾を得て、現在のホームページとブログが制作されるのですが、知り合いの制作会社は実に丁寧に、お店の雰囲気を大切に、最新技術を駆使して望んだ以上のものに仕上げてくれました! 感謝感激! 
立派過ぎるホームページに少し気遅れしたほどです。
それから忙しいシェフや女将に代わってブログの更新をサポートしています。
毎月、金沢からイラストの画像、シェフからの献立が届くのがとても楽しみで、それらを構築するだけの機械的な作業とは言え、お店のイメージを崩さず、アクセスして下さった方に少しでもお店に興味を持っていただけるよう、少ないweb知識ながら奮闘しています。
「ブログを見たお客様から予約や注文が入った」と聞くと、とても嬉しいですね。
自身も連載の執筆をしておりますが、それは箸やすめ程度のご愛敬ってことでご容赦を…(笑)

RIMG0035.JPG「身内」でありサポーターの私ですが、食いしん坊としては常に「お客」の立場で葉歩花庭 と向き合いたいと思っております。
身贔屓だけでは「食」は満足いたしませんもの!
料理店とお客、この構図だけは絶対に崩したくありません。
シェフには、いつも高いレベルの料理を供給して欲しいし、女将には素敵な生け花と接客で迎えて貰いたいと思っています。
そうして精進する事によって、来店されるお客さま皆さまに葉歩花庭のサポーターになっていただく… 
それが、私たち「身内」サポーターズの願いであります。

最後に、お気に入りの葉歩花庭 定番の一品をご紹介します。
RIMG0025.JPG会席の凌ぎに出される月替わりの「燻し魚の寿司」
これが絶品なんです!
もともと凌ぎはほんの少し食すもので、「もっと食べたい!」という欲求が満たされる事が無いため執着するのかもしれませんが… 
燻された魚の独特の風味は、バルサミコ酢をブレンドした醤油とマッチして、何とも無国籍で重厚な味わい…
特に、酢飯に薬味を混ぜた青魚系のお寿司が好きです。
偏食で青魚を食べるのを見た事がない友人でも、すんなり口に入れて「美味しい」と感激したほどです。
    今月は「牡蠣の燻しにぎり寿司」 早く食べに行かなくちゃ!




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2008年09月27日

楽食旅紀行vol.7 クロアチア紀行「アドリア海の真珠」ドブロヴニク

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03360244a.jpg日本人にはあまり馴染みのないクロアチアという国を認識したのは、1998年にフランスW杯で日本の対戦国となった時からでした。
その後2006年のドイツ大会でも対戦し、サッカー好きの私は2度もサポーター達との交流の機会を得ました。(写真は2006年ドイツW杯)
以前は旧ユーゴ内戦の暗いイメージがありましたが、彼らはラテン系と全く同じ乗りの良さ! フレンドリーで大層陽気な人々でした。
それもそのはず。クロアチアはアドリア海を挟んでイタリアの対岸にあり、昔からヨーロッパの人々のリゾート地。美しい紺碧の海だけでなく、千年以上の歴史と文化の融合を経た数々の遺産がある魅力的な国です。近年、内戦の傷跡から見事に復興し、日本からの旅行者も急増しています。
IMG_1727a.jpg今回は、一番人気の南部の「アドリア海の真珠」と称されるドブロヴニクのレポートを写真を中心にご紹介します。
クロアチアの南部、アドリア海沿岸地域一帯をダルマチア地方と呼びますが、ジブリアニメの「紅の豚」で主人公マルコが飛んでいる風景… 
青い空、青い海、数々の島、赤い屋根と白い壁…それらの景観は、ここが舞台だそう。あの光景が間違いなく眼の前に広がっていました!
その中でも最も美しいとされるドブロヴニク旧市街は、まるで海に浮かぶ都市のよう。ここは15〜16世紀に地中海貿易の拠点として栄えた城塞都市で、歴史的・文化的建造物の宝庫です。
IMG_1681.JPG城門をくぐると、そこは中世にタイムスリップしたかのような町並みが広がり、大理石の石畳のメインストリート沿いには修道院、大聖堂、宮殿、博物館などが点在しながら港へと続いています。
静かな古都を満喫するつもりが、実際は世界中の人々が大挙して訪れる大観光地で、私たちはまるで映画のセットのエキストラ軍団のよう。
それでも狭い迷路なような路地に入り込むと、そこは地元の人々の生活空間… ゆっくりと時間が流れているような安らぎがありました。あきらかに観光客用なのに人混みを避けるようにお店を広げていた女性の笑顔がとても素敵でした。
RIMG0168a.jpg高い城壁は街を一周することができて、狭い階段を登ったり降りたり、歩くこと約1時間… 海と街の絶景を眺める空中散歩を堪能しました。
1991年に勃発した内戦の傷跡は、一見では分からないくらい完全に修復されていましたが、よく見ると煉瓦の色や石垣、彫像などは少し色が違っています。それがまたモザイク模様となって絶妙な美しさのアクセントになっています。この歴史的価値の高い街も爆撃の被害は相当大きかったようです。
IMG_1704.JPG世界中のボランティアが修復に貢献したとの事で、ユネスコの危機遺産から脱して1998年に旧市街は世界文化遺産に登録されました。
荘厳な大聖堂や博物館見学はもちろん旅の目的の一つですが、高い所から風景を眺めたり、狭い路地を散策するのが何よりも好きです。
また、カフェでのんびりしながら街ゆく人々を観察する事も…
徒歩で十分周れる小さい都市ですが、時間に制約のあるツァーでは1日の自由行動でもやや消化不良。すぐ近くのビーチで旧市街を眺めながらの日光浴や、小島巡り・近郊への小旅行… 
ドブロヴニクは旅の拠点としてゆっくり滞在するのに最適です。
青い海と文化遺産、そして平和を願い復興にかける人々のパワー。素朴で温かいホスピタリティ… 
来年には街を一望できるスルジ山のロープウェイも改修されると聞きました。ドブロヴニクは更に観光都市としての発展を遂げることでしょう。

さて、アドリア海の新鮮な海の幸は大層美味揺れるハート イタリア料理と同じ調理法で、塩とオリーブオイル、トマトなどで味付けされているので、とても馴染みやすく旅行中は一度も外れはありませんでした。
中でも、スズキと細切りズッキーニの包み焼きは絶品!(下の写真左上)
ツァーの団体料理でこんな美味しい一皿に出会えるなんて驚きです。全部とは言いませんが、団体ツァー利用に慣れたレストランは作り置きも多く、美味しいとは言い難いモノも少なくありません。
どうやら現地旅行会社が競争して極上の料理をプレゼンしているからだそうです!
この辺りも現在のクロアチア旅行の魅力かもしれませんね。
興味のある方は、ぜひ早めに訪問されることをお勧めします。
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今回は大手旅行社のチャーター直行便のツァーを利用しましたが、ヨーロッパ各地からアクセスできます。
クロアチアだけでなく、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロなどの近隣諸国も周遊しました。そのお話はまた別の機会に!


文:葉歩花庭 オーナーの従姉妹。職業「旅人」を目指す食いしん坊。



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2008年08月20日

楽食旅紀行 VOL.6 阿波踊り 踊り込み体験記

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親孝行の名目で、母と旅行する機会が増えてきました。
母には「一生に一度は見たい、行きたい」という場所がたくさんあります。
今回は「本場の阿波踊りを、演舞場の桟敷席で見たい」というハードルの高いもの…
そこで! 行って来ました。真夏の徳島!
さらに、ひょんな事から、「連」に参加して踊り込みをすることになってしまいました!
この時期は市内の宿が満室で、桟敷席も個人手配は難しかったので、ツァーに参加することにしたのですが、それは「連」を結成するというもの…
参加同行者の母は、演舞場中央の桟敷席で見学できるという特典付き。
もちろん阿波踊り初体験。飛び込み参加OKの「にわか連」ではなく、地元の有名連の指導のもと、同一の衣装を纏い、彼らの先導で踊り込むという本格的なものです。
唄い文句にあるように「同じ阿呆なら踊らな損」とばかりに参加を決断したのですが…
前日のお稽古を受けた時、考えの甘さに早くも後悔(笑)
IMG_0996.JPG阿波踊りは自由自在に踊る「男踊り」と団体美の「女踊り」と二通りあります。
基本はどちらも右手・右足を同時に出して交互に進む簡単な踊りなのですが、鐘・太鼓のリズムに合わせて軽快に踊るのは、一朝一夕では会得できるものではありません。
腰を低くして地を這うように踊る「男踊り」は、脚力を要する過酷な踊りですが手を高く上げて振り続ける「女踊り」も想像以上にハードなものでした。
肘を肩より下げてはいけない、指先までしなやかに伸ばす、身体をひねってはいけない…等々、簡単なようで型を決めるのは大変に難しい踊りです。さらに足を揃えるのがまた困難! 
リズムよく足を高く蹴り上げて、少しひねってつま先でトンと着地するのですが、これを下駄を履いて踊るのですから… 新品の下駄の鼻緒はきつくて痛いし、通常歩行すらままならないのに、つま先着地なんて絶対に出来な〜い!! 観衆の前で踊りを披露するなんて、とても出来そうに思えません…
IMG_1007.JPG阿波踊り前夜祭の舞台で見た地元有名連の踊りは素晴らしいものでした♪
指導して下さった「うきよ連」も一糸乱れぬ完璧な踊り。「女踊り」はラインダンスに似て全員の動きが揃うと見事な「連」になります。腕の高さ、膝の角度まで一致していて、しかも下駄の音がしないのです!
どのくらい練習すればあのように踊れるのでしょう?!
あの踊り手さんたちに先導されて、明日は自分が踊るんだわ…
後ろの方でこっそり付いて行こう。 どうか転びませんように…

RIMG0085a.jpg8月12日。気温34℃ 2008年阿波踊りは猛暑の中、幕開けしました。
徳島阿波踊りは、言わずと知れた100万人規模の大イベント。
阿波踊り会場は市内に8か所あって、4日間、同好の士や、企業・大学・団体等を単位に結成された1000を超す大小様々な「連」が、次々に個々のスタイルで踊り込んでいきます。タレントや外国人も大勢いました。
市内には至る所で鳴物(三味線・鉦・太鼓・横笛等)が響き、ものすごい熱気に包まれていました。踊る順番待ちの長い列が延々と続き、あちこちでリハーサルが行われています。
我々は市役所前演舞場というメイン会場からスタートします。1時間くらい前から待機していましたが、気温と湿度と熱気で、気絶しそうなほど暑い…
襟付き肌着・腰巻の上に浴衣を短めに着て、帯を固く巻いて、手甲、足袋まで着用しているので、汗の流れる隙間も無いほど身体は衣服で覆われています! 
網笠の紐が、頬と顎と喉に食い込んで、首を左右に振るのも不自由。背中には団扇が差してあるので背筋は固定。この格好で最後まで踊れるのかしら? 下駄は変わらず痛いし、とにかく暑い…
IMG_1026.JPGそんな不安も、会場の盛り上がりで段々と薄れていきました。
出番が近付づくに連れ、高揚感で今にも躍り出したくなるのは、祭りの魔法なのでしょうか。
場内アナウンスが「連」の紹介をした時、賑やかに鳴物隊が演奏開始!
かけ声の「ヤットサァー」で踊りがスタートします。
大観衆の拍手で迎えられた時、気分は一端の踊り子。最初は列を揃えるように戦後左右を気にしつつ、そのうちに、ただ身体が動いて夢中で踊っていたように思いますが、桟敷席の母の笑顔だけはしっかりと見ることが出来ました。
1回目の踊り込みは無我夢中で、全長110mの会場も、あっと言う間に終ってしまったように思えました。
下ろした腕は心地よい重さ… もう下駄の痛みはすっかり消えていました。
次の会場に徒歩で向かっている最中、街中の人々が、玄関先や二階のベランダで踊っているのを見ました。オムツが取れていない幼児でも、リズムに合わせて手と足を動かしています。
その満面の笑みを見た時、徳島の人々にとって阿波踊りはDNAのレベルまで染みついているのだと感じました。そして、この祭りに参加できてとても幸せだと思いました。
img003b.jpg2回目の踊り込みを終えた時には、すっかり阿波踊りに魅了され、街中の人々と深夜まで踊り続けたいと心から願っていました。
後日、撮ってもらった写真を見たら、ちゃんと下駄でつま先着地出来ているではありませんか! 練習の時は絶対に出来なかったのに…
心を踊り立たせる鉦(かね)や太鼓のリズムに合わせれば、自然と型になるのだという事がよくわかりました。  「踊らな損・損!」
阿波踊りは理屈や技術で披露するのではなく、踊って楽しむものなのでした。

taketikuwa-S8-682.jpg最後に、楽食旅紀行としては、食べ物を書かなくては終われません。
踊りの練習のため、名産品を食べ歩く時間は無かったのですが、踊りの待機中にお茶と一緒に配られた阿波名物「竹ちくわ」について少し…
もともと「ちくわ」は「竹輪」と書くので、「竹竹輪」ってややこしいですが、ここでは本当に竹に巻きついています。
配られた時、名物だからって「竹ちくわ」を 今 このまま食べるの?
と少しビックリしましたが、徳島では煮たり焼いたりせず、竹を持ってそのまま丸かじりするのが習慣で、おやつみたいなモノなんだそうです。
歯ごたえがあって、程よい塩加減とほんのり竹の香り… しっかりと魚の味がして大層美味でございました♪

それにしても、また増えてしまったコスプレ衣装一式。これは、また来年踊るっきゃないかしら♪


文:葉歩花庭 オーナーの従姉妹。旅好きな食いしん坊。



posted by naoko at 18:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 楽食旅紀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする