2013年10月14日

花日記vol14

観賞の秋

今年の夏は長かった。
でも、いつのまにか庭では、石榴の実や山ぼうしの実が
いつになく大きく赤く染まり、たわわとはこのことかと。

重たげにしなる枝を切っては葉歩花庭に運び、
お客さんの目を楽しませてくれる。

あとは食すだけだが、鳥達の見極めに勝てるはずもなく、
残りものの福をもらおうと、毎日変わる赤を楽しんでいる。

この秋は、芸術の秋にふさわしいはじまりとなった。
葉歩花庭のお客さまでもある、
蒔絵アクセサリー作家、西本千恵さんの展示会が、
赤城神社のギャラリーで開催された。

夕暮れの赤城神社1.JPG

千恵さんのご両親は共に蒔絵師でおられた。
先代から受け継いだ伝統的な技法を
千恵さん自身はアクセサリーという形で蘇らせている。
千恵さんのパートナーである眞吾さんは、お酒を片手に、
「千恵さんの作品はシルクロードなんだよ。」と。

なつめと香合の数々.JPG 蒔絵お道具1.JPG

そう、どこか異国情緒を感じる、
アンティ―クのような風合いに、
手作業と古いものが、このうえなく好きな私は惹きつけられる。

光と影を感じる作品。
親から孫へ子へと受け継がれるもの。

千恵さんのアクセサリーへの考えは、着飾るものではなく、
身につけるものだという。その思いに共感。
その通りにお守りのような品格がある。
もの作りと同時に再生もライフワークとされている。

帯留め3.JPG ブルーアンバーペンダントヘッド.JPG

そんな千恵さんが、私の生けた花をとても好きだと
おっしゃってくれる、そのようなご縁から、
今回の展示会に花を添えさせていただく運びとなった。

何年か前までは、このようなお仕事をいただくと、
花市場に出向いて、よりめずらしいものを注文してみたり、
花屋さんをはしごしたりしていたが、
最近は、より自然なものしか目には映らず。

みな同じ表情をし、直立した茎をもつ、
自然体感のない花には魅力を感じない。

そこで自宅で育てたり、通勤途中のよそのお宅の庭を
横目で観察している。

いい花を見つけると、知ってるお宅なら即、電話。
知らないお宅は104、もしくは直接門をたたく(笑)。

都会で自然な花を手に入れるには、そんなに楽ではない。

それでも、みなさん最初は驚きになるものの、
お話すると、いつでもどうぞと、おっしゃってくれる。
植物好きは通じ合える。
嬉しくなり、とびきり気に入っているお菓子を持ってたずねてゆく。

今回は、話を聞いた母が、実家から
つや艶とした、わずかに緑の入った黄色に色づいた
椿の実をいただいてきてくれた。
葉はやわらかく、やはり黄みがかり陽だまりのような姿。

展示会3日目には、実がポトリと落ち、葉も一枚畳へ。

千恵さんは、そのままに「このままがいい」と、
こういう方のお仕事は、ほんとに楽しい。

入口には神社所有の大八車、
その足元に、千恵さん愛蔵品、朱の漆をほどこした大籠に
山採りされたドウダンツツジと、つる梅もどきや野ばらの実、
しおんをたっぷりと。
大八車が御所車に変わったとうれしいお声が届いた。

椿の実1.JPG 大八車3.JPG

そのほかにもギャラリー内には、自宅の石榴や、
千葉からマユミや秋草など。

千恵さんのお客さまも喜んで下さって、ただただほっとした。


それも束の間、千恵さんから次回は葉歩花庭でしましょうと。

そのお知らせは後日また。

posted by chef at 02:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 花日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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