落ち葉を掃きながら、
今年の紅葉や照り葉は、ひときわ美しかったと思う。
購入してから6年ほど経つ葉歩花庭の楓、
今まで一度も紅葉などすることはなく、そういう品種だと思っていた。
そんな楓までもが、うつくしい黄色に染まる
うれしい冬の訪れだった。
お客さまからも「きれいね〜」とほめられ、
「よかったね、暑い夏も悪くはなかったね。」と
楓に問いかけているうちに、12月はやって来る。
やるべきことが頭をかけめぐり、気ばかりが焦るのは、
前倒しが利かない、花にせよ食材にせよ、
生ものを扱う仕事のつきものだろう。
まずは、昨年からのご依頼
神楽坂通りにある”神楽坂テラス”の
クリスマスツリーとリースを仕上げなくては。。。
このビルは、フランス生まれのパン屋の老舗PAULさんが目印。
木目と黒を基調とした、素敵なビルなのだが、
入口に、それぞれの店舗の宣伝用の立て看板が競うように並ぶのが、
いただけない。
解りやすく目立つことが目的なんだろうが、
景観としてはもったいない。
それでもPAULさんのファザードは雰囲気があるので、
この場所の飾り付けは、楽しい。
どんなデザインのものを飾るかというよりも、
飾る場の方が面積を占めるので、そちらの方が大切なのだ。
このお仕事を終えると、いよいよ葉歩花庭のクリスマス準備だ。
日本料理なのにクリスマス・・?と思われるでしょうが、
私が、本場ヨーロッパの生の針葉樹の飾りに心をつかまれてからというもの
作らずにはいられず、毎年楽しみにしてくれている方もいる。
シェフが、和食に洋食の要素を取り入れるのを得意とするところもあり、
葉歩花庭のクリスマスディナーは毎年恒例となっている。
全てを手作りのするので、お店の繁忙期も重なり、体力的に年々きつくなってきた。
少しの愚痴をこぼしたら、友人が手伝ってくれるという。
ありがたい! なんといっても腕利きのベテランさん達だから、
それでも、生の針葉樹を目にした時には「なつかしい」の一言が・・・。
私にとっては毎年、針葉樹に囲まれて過ごす年末が、新鮮に映るようだ。
針葉樹特有の香りに包まれ、触れると、
この季節のさまざまな思い出がよみがえる。
20代の頃、フレンチレストランの女性オーナーと、
2階に届くほどのハシゴに登りながら、
洋館の飾り付けをして、「やるわね(笑)。」なんて意気投合したこと。
広尾のとあるレストランのエントランスを借りて、
ゲリラ的に、手作りの飾りを販売したこと。
早稲田店をオープンさせたはじめての年、
あまりの暇さに、ありとあらゆる飾りを作り、店を飾った上に、
販売する分まで仕上げてしまったこと(笑)
お客さまが、気に入って下さって、
「海外のお友達のプレゼントにする」と沢山買ってくださった。
(・・・逆輸入?)
その頃の写真を見ると、あまりのエネルギーの強さに、
「うっ!」となる。
ふり返ると、たくさんの楽しい仕事をいただいてきたと思う。
針葉樹に触れるこの季節の思い出は、いつでも活気に満ちている。
我に返ると、みなさん真剣に作ってくれている。
本当は、それぞれに自分のラインを持っている人たちなのだが、
「葉歩花庭に沿うように作る」と頼もしいお言葉。
思えば、花を通じて出逢う人は、
いつのまにか大切な人になる。
いつも私の人生を豊かにしてくれる。
今年のクリスマスは、
みんなのおかげで、温かい飾りに仕上がった。
針葉樹の香りと、キャンドルの灯りの中で、
お客さまも、いつもよりリラックスしているように思う。
楽し気な笑い声が、しずかに飛び交う。
よかった。
どうか来年も、充実の一年を過ごされますように。
タグ:リース