2009年05月10日

花日記6 皐月の花日記

葉歩花庭 204.jpg気が付けば遥か頭上に淡紫色の美しい桐の花がゆらゆらと…
いつのまにか季節は晩春に入っている!!
心地良い季節は早く過ぎゆくもの。早く植物の植え替えをしてあげなくては…とあせり始める。
人にとって心地良ければ植物にとっても最適なわけで、この季節に古い根を沢山落としても、へこたれずに回復は早い。
しかしこれが結構な重労働で、自分をエイやっと奮い立たせるのに少々時間がかかる。
私は怠惰な園芸好きだ。

“植物を育てるのではなく土を育てよ”とは園芸家の言葉。
土は弱るのではなく、年々良くなっていくものだと教えを受けた。
土は植物が自生することによってどんどん良くなる。
植物が息づいていれば、養分も水分も蓄積される。植物がないと砂漠化していく。
土は育むものである。

葉歩花庭 220.jpg葉歩花庭は土に化学肥料や農薬は一切使わない。
それを使ってしまえば土の中の微生物が死んでしまうから=土が死ぬからだ。
化学肥料を使い続けた土は一年も経てばカチカチになり、根は張れなくなり、水分を止めることのできない抜け殻のような土になってしまう。
結果、植物は弱り病気を引き起こす、そして土はゴミになる。なんと悲しい不自然なこと。だから葉歩花庭では土にたっぷりの有機物をすき込む。
植え替え時にミミズを発見すれば大喜び!土がうまく育っているバロメーターであり、ミミズは土にカルシウムを与えてくれ、土をやわらかくし微生物を住みやすくしてくれるありがたい味方。微生物を即座に殺してしまう農薬なんてとんでもない!!
大体虫も寄り付かない植物なんて危険で、私だって近寄りたくない。
少々食べられたってそれはそれでいいもの。虫喰い葉は風情ある花として店内を彩ってくれる。
そんな自然観のある花が私は好きだ。

実際悪さをする害虫と言われるものは、全体の20%ということ。
だから一番の天敵アブラ虫は根気よくつぶしたり、晴天に牛乳散布したりする。
それよりも害虫に負けない体液の濃い植物にするべく土を育てることが最も大切。
そうそう、園芸の先生が、よく弱っている植物を見ると、慌てて栄養を与えようと、植物の栄養ドリンクのようなものを与える人がいるが、それはもってのほかで、弱るということは植物の体液が薄くなっているという知らせで、そこに濃度の濃い肥料をあげても、自分の体液より濃いものは受け止められず、無駄になるばかりかますます弱ると言っていた。
これは人間の体も全く同じ原理で、疲れ切った身体に栄養ドリンクを飲んでも吸収しないということ。
今日は大変!疲れそうだという時、疲れる前に飲むことで発揮されるそうだから皆さんも御注意を!
私もシェフも忙しい日は、元気なうちに漢方系のものをゴクゴクと飲む。
それよりも疲れない身体づくりが必要ということだけど、寄る年波には勝てずに…
最近はスタッフのドリンクいらずのあっちゃんが「今日は飲みますかー?」と気に掛けてくれる(笑)

葉歩花庭 213.jpg

五月に入り葉歩花庭の山紫陽花の花芽も大きくなってきた。
今年もまた道行く人に楽しんでもらえる季節が来る。
元気に育っている植物達見ていると、植え替えてあげて本当に良かったとほっとする。

葉歩花庭 216.jpg二年半前に譲り受けた木の芽の葉が、今年は一段と青く美しい。
そこで季節ごとに作るあっちゃんのロールケーキはちょっと贅沢に“木の芽ロール”になった。
木の芽の香りを逃がさずに、尚且つ、青い味が前に出過ぎぬよう毎日調理場で研究を重ねている。
その真剣さが青葉のようにみずみずしく美しく目に映る。
ものをつくる時、常にこうありたいと思う。
葉歩花庭 239.jpg毎月ロールケーキを注文して下さるお客様から “桜ロールを神楽坂の踊りの上手な芸者さんにプレゼントしたら「神楽坂で一番美味しいロールケーキ」と言われたよ” と声をかけて下さったとこと。
あっちゃんの精神が伝わり、とても嬉しく思いじーんとした。
気が付けばリピートのお客様が多くなっている。

物事はやった分だけのことが必ずある。
そしてそれ以上もそれ以下もない。
それはすぐに表れなくてもその季はきっと来る。
だから常に考えやり続ける手を止めてはいけない。
園芸もまさしくそうだ。やった分だけ応えてくれる。
それにしても植物は他の物事よりも成果は目に見えやすく、応えてくれるのも早いように思えて
ならない。せっかちな私にピッタリなのではないかと感じている。
なので園芸は私の一生の趣味であることは揺るぎないことだと思うし、それを願っている。
これからは春だけでなく四季を通じて楽しんでもらえる、ちょっとプロ的な植栽が課題。
さあ考えていこう。
2009.皐月


posted by naoko at 15:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 花日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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