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2008年10月03日

花日記3 神無月の花日記

葉歩花庭 105a.jpg

10月になると秋はすっかり深まり、空気は澄み、空の青はより鮮明な青へと。
昼間でも風が肌寒く感じられる頃、街の植物も葉歩花庭の植物たちも違う表情を見せてくれる。
夏の過酷な暑さに耐え、雨風に打たれ、猫に飛び乗られたり、虫にかじられたりしながらも、春の初々しさとは違う。人で言うなら年齢を重ねてこその魅力というか、深みのある美しさにはっとさせられる。そんな中で、ほどよく食べられた虫食いの照葉などを見つけると、偉大な虫の彫刻家に拍手を送りたくなる思いである。
昨年の秋の日のこと、スタッフのあっちゃんが「見て下さい」と嬉しそうに差し出したのは、スペードの形をした葉歩花庭 056.jpg淡い黄色の照葉に、茶の大小斑点の入った葉。
どこかユーモラスでいて、おっとりした様子が温かく、美しかったなぁ…
彼女はその葉にキリンと名付けていた。まさしく!である(笑)
私が拾ってきたのは南京ハゼ、やわらかくマットな質感。それは1本の木の中で萌黄から朱色、茜、橙々、黄金色までに色彩の変化が見られる、信じがたい照葉だった。しばし落ち葉拾いに夢中になるのも無理はないほどに。あっちゃんに見せると「これはハリーポッターに出てきます」 「…?」 とそうそう、それくらい幻想的だということだ。 楽しい植物に出会う度、葉歩花庭ではあっちゃんの名珍言集は綴られていく。
葉歩花庭 085.jpg照葉と共に楽しみなのが実り。
赤い実りがあるからこそ、人も鳥も秋を心待ちにするのではないだろうか。
野ばらやナナカマド、つる梅もどきやぐみなど、実物を目にすると生け花心がプクプクと湧き上がってくる。美味しそうな色合いが、花に向かういつもの緊張感を奪うのは、それよりも本来の食いしん坊魂が勝っているのだろうと思う。 この季節、私の眼は鳥の様にすばやく実りをキャッチする。
実りは、植物が繁殖の為に、鳥達に気付かせるように種子を覆った部分を赤く染める現象。
葉歩花庭 024a.jpg花は昆虫や蝶を使い、種を作り、自分達を運ばせる為の準備期間。
そしてより遠くへ運んでもらう為に、植物は翼のある鳥を選んだ。
鳥がついばみ、その体内を通すことでしか発芽しない植物もあるほどだ。
野ばらやサンキライ、ヨーロッパのクリスマスにはかかせない、やどり木などがそう。
実物が魅力的なのは生命の豊かさを結んでいるからだとつくづく思う。
紅葉は何の為に起こるのかは、植物学的には明確な答えは出ていないそうだ。植物の創造に意味のないことは何ひとつないという。 落ちて土となる為だったら、緑のまま散っていってもいいはずだが、落葉樹はその葉を朱から紅、橙々〜黄色へと色とりどりに染めてから散る。そしてそれを美しいと感じ、引き寄せられるのは人しかいないと思う。 これだけの色彩の幅を見分けられるのは人間だけで、他の動物はそれぞれの
葉歩花庭 089.jpg世界が2色だったり3色だったりするという。
還元者ではない人間に、植物はそんな贈り物をはたしてくれるだろうか… でもそう信じたい。
    今年も素敵な照葉を見つけたら 葉歩花庭の食卓へ
    シェフの料理と共に 秋の恵みに感謝し お届けしたい



posted by naoko at 01:15 | 花日記

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