そろそろ梅雨も明け、夏の到来だ。
築地の場内の気温は場内と言っているわりには、外気温とまったく変わらない。
人が多いので外気より蒸し暑い。
活け物を扱っている店は、冬はウェットスーツみたいな物を着て仕事をしているが、夏はランニングにビニールの前掛けという格好。
鮎解禁の六月から食材も少しずつ旬のものが変わってくる。
築地に通っていると食材で季節を感じられる。走りから旬、名残りと、移ろいを見ながら足早になる。
鮎が木箱で何枚も陳列されている。
天然の鮎の上には「さわるな!!」 と力強く書いてある。それだけ貴重品ということだ。
四月まで鯛が寝かされていた場所は、スズキやカレイに変わっている。
水槽にはするどい歯をもったいかつい淡路産のハモが順番を待っている。
そして値段は毎日違う。天候、店によって、鮮度・質・値段は様々。
今日はお得意さんが入っている。天然の鮎を食べさせてあげたい。
信頼している店に怖々と値段を聞いてみると、半天然の鮎だったら六本買える値段だ。それだけ味と香りに差があり、心なしか顔つきも精悍である。「鱧も買うから安くなる?」と交渉。
築地に通い始めてから、鮪ならココと決めている店のオヤジが
「今日は素晴らしいのが入ったよ ハブちゃん!」 とニコニコしながら近づいてくる。
今日は鮎も買ったし鮪は予定にない。 が、脂ののりの具合がほど良く、赤身とトロのコントラストが鮮度を物語っている。いかにも素性の良さそうな生の本鮪だった。値段を耳元で聞くと…やっぱりね。
生なのでもって四日、今日から二三日の予約を確認したら、予約で使いきれる量ではなかったので一回断った。
しかし鮪屋は「これを買ったら大丈夫!」と一言。これが妙に説得力がある。
今日のお客さんにも食べさせてあげたいし、やはり買うことにした。
それにしても今日は高い買い物をしすぎた、などと思いながら店へ戻る。
するとスタッフが「団体さんの予約が入りました」と嬉しい一声。
それからも不思議と予約が入り始め、すると二日後には鮪ははけていた。
気持ちのいい瞬間である。そんな所が以前にも数回あったので、やはり気は心というか、何か伝わっている様な気がして有難く思う。
これから真夏に入ると魚介も品薄になってくる。
その代わりに夏野菜が旬で7・8月は美味しい野菜が沢山出回る。
露地物の野菜はハウスに比べると色ツヤ、香りが全く違う。お楽しみに!
2008年06月30日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック